「プロローグを制した」「オフロードデイ4で44分差をつけた」
―― このサイトの結果欄には、こういう書き方がよく出てきます。
競技をすでに見ている人には通じますが、初めてだと何のことか分かりません。
ここでまとめて解説します。
シリーズと格付けの話(HEWC と HEWR)は こちら、
チーム名と機材の読み方は ライダーとチーム にあります。
まず、種目の違い
ひとくちに「オフロードレース」と言っても、勝ち方の決め方がまるで違います。
このサイトが扱っているのは次の6つです。
- ハードエンデューロ岩・急斜面・段差といった障害を突破できるかを競います。速さよりも「進めるかどうか」が問われ、完走者が出走者のごく一部にとどまることも珍しくありません。Erzbergrodeo や Romaniacs がこれです。
- エンデューロ(オンタイムエンデューロ)決められた区間を、決められた時間どおりに走ります。順位を決めるのは道中ではなく、途中に置かれたスペシャルテストの合計タイムです。EnduroGP と国内の JEC がこれにあたります。
- クロスカントリー一定時間内に周回コースを何周できるかを競う耐久形式です。国内の JNCC がこれです。
- ラリーレイド(オフロードラリー)何日もかけて長距離を移動しながら、区間ごとのタイムを積み上げます。地図を読んで自力でルートを見つける力が要るのが、ほかの種目との大きな違いです。ダカール・ラリーが代表格です。
- アドベンチャーラリー地図と指示書をたよりにルートを辿る催しです。順位を競うレースというより、走り切ること自体を目的にした形式です。
- サンドレース海岸の砂浜に数百台から千台規模が並び、一斉にスタートする形式です。
大会の組み立て
- プロローグ本戦の前に行われる短い競技のことです。順位そのものより、本戦のスタート順や出走権を決めるために行われます。見せ場になりやすいので、市街地や会場内の作り込まれたコースで開かれることが多く、Romaniacs のように街なかでやる大会もあります。「プロローグを制した選手が本戦でも勝つとは限らない」のは、そもそも別の競技だからです。
- オフロードデイプロローグのあとに続く本戦の1日分を指す呼び方です。Romaniacs は「オフロードデイ1〜4」の4日間、Minas Riders は3日間で、日ごとのタイムを積み上げて総合順位を出します。
- ステージラリーで、1日分の行程を指す言い方です。ダカール・ラリーが「13ステージ構成」なら、13日ぶんの区切りがあるという意味になります。
- SS(競技区間)ラリーの1日は、タイムを計る競技区間(SS)と、そこまで自走で移動するだけの区間に分かれています。順位に効くのは SS のタイムだけです。「総距離2,201km、うち SS が1,269km」という書き方は、この内訳を指しています。
- 休息日2週間規模のラリーの途中に置かれる、走らない日です。選手が休むだけでなく、車両を直す日でもあります。
- チェックポイントコース上に置かれた通過確認の地点です。近道を防ぐためのものですが、事故や悪天候でレースが途中で止まったときには、ここまでの順位を正式結果として採用することがあります。
- タイムトライアル全車が一斉に走るのではなく、一定の間隔で1台ずつ出て、走り切った時間を比べる方式です。人数の多い大会で、本戦へ進む選手をふるい分けるのによく使われます。
- ウェーブスタート/ル・マン式スタート出走者が多い大会では、全員をいっぺんに出さず十数台ずつ時間差で送り出します(ウェーブスタート)。ル・マン式は、ライダーがバイクから離れた場所に立ち、合図で走って乗り込む昔ながらのスタート方法です。
- グリーンテープ/ブルーテープハードエンデューロで、コースの難易度を色分けした標識のことです。緑がやさしい側、青がより厳しい側で、周回ごとに難易度を上げるといった使い方をします。
エンデューロ(オンタイム)の「テスト」
オンタイムエンデューロでは、1日の中に何本かのタイム計測区間が置かれます。
これをスペシャルテストと呼び、その合計で順位が決まります。
性格の違いで名前が分かれています。
- スペシャルテストタイムを計る区間の総称です。「1本12分近いエンデューロテスト3本」なら、その日はスペシャルテストを3回走ったという意味になります。
- エンデューロテスト林の中の自然な地形を走る区間です。岩や木の根が出ていて、速さより正確さが問われます。
- クロステスト開けた地形を走る、より速い区間です。モトクロスに近い性格で、勝敗がここで決まることもあります。
- エクストリームテスト人工の障害を組んだ区間で、ハードエンデューロ的な突破力を見ます。EnduroGP では上の2つと組み合わせて使われます。
クラス名の読み方
同じコースを走っていても、実力や車種でクラスが分かれています。
クラス名は大会ごとにばらばらで、統一されていません。
- Gold(Romaniacs)Red Bull Romaniacs の最上位クラスです。その下に、距離と難易度を下げたクラスが段階的に用意されていて、一般ライダーはそちらに出ます。「Gold クラス優勝」と書いてあれば、実質的に大会の総合優勝です。
- Adventure Ultimate / Core Class(Romaniacs)Romaniacs のアドベンチャーバイク部門のクラスです。競技用のエンデューロバイクではなく、旅向けの大きく重いバイクで同じ山を走ります。Core Class は2026年に新設されました。
- Hiu クラス(Hiu Selatan)インドネシアの Hiu Selatan における最上位クラスです。大会名がそのままクラス名になっています。
- Oro / Plata / Bronce(Ukupacha)南米 Ukupacha のクラス分けで、スペイン語の金・銀・銅にあたります。Oro が最上位です。それぞれに年齢別と電動のクラスが用意されています。
- RallyGP(W2RC・ダカール)世界ラリーレイド選手権における二輪の最上位クラスです。ダカール・ラリーの「二輪優勝」は、ふつうこのクラスの優勝を指します。
- E1 / E2 / E3(EnduroGP)EnduroGP のクラス分けで、排気量とエンジン形式で分かれています。すべてのクラスが同じコースを走り、そのうえで総合順位(EnduroGP クラス)とクラス別順位の両方が出ます。
略語
- FIM国際モーターサイクリズム連盟。二輪モータースポーツの国際的な統括団体で、世界選手権を認定しているのがここです。
- HEWC / HEWRHEWC は FIM公認のハードエンデューロ世界選手権、HEWR は2026年に始まった世界ランキングです。2つの違いはこちらにまとめています。
- EnduroGPFIM のエンデューロ世界選手権。オンタイムエンデューロの最高峰で、2日制で行われます。
- ISDE国別対抗のエンデューロ大会(FIM Enduro of Nations)。6日間かけて行われます。
- W2RCFIM世界ラリーレイド選手権。ダカール・ラリーがその開幕戦です。
- MFJ日本モーターサイクルスポーツ協会。国内の公認競技を統括しています。
- ACUイギリスの統括団体です。
- JEC / JNCC / WEX国内シリーズの略称です。日本のレースのページに、それぞれの位置づけをまとめています。